プロレスを知ろう。③受け身編

プロレスは技を受ける事で成立します。

今回は受け身や技を受けることについて解説します。

私のプロレスの解釈が多分に含まれている事をご了承ください。

格闘技に近い「秒殺」の試合もありますが、プロレスの多くは相手の技を受け、それを返すことの繰り返しです。

入門するとまず、徹底的に受け身の練習をします。

多分今はシステマティックになっているとは思いますが、昔は先輩レスラーに技を喰らいまくって技の抜け方を体に叩き込んだといいます。

昔蝶野正洋がTVに出演した際、「プロレスは格闘技界のマラソンである」と発言していました。

あえて技を受けるということは、我慢強さや痛みに対する耐性、散々受けた後に攻撃する事で闘争心を表現することができます。

また、怪我をさせない技で相手や相手の体の一部を消耗させ、必殺技で勝利するというパターンを構築するためともいえます。

武藤敬司は徹底的な足責めで必殺技の足4の字や、シャイニングウィザードの布石である「相手に片膝を立たせる状態」にする。そして足を上げづらくしてフォールを返しにくくするというように、結構理論的な組み立て方をしていたりします。

1.打撃

打撃は主に打撃合戦や我慢比べが頻繁に行われます。

序盤はエルボーやチョップ、ミドルキックなど。反則ですが地獄突きやナックルパート(顔面付近へのグーパンチ)を使う選手もいます。

そこからショルダータックル合戦や最後にラリアット合戦等、どちらの打撃が上か、もしくは「こんな技で倒れてたまるか!」というようなガッツを見せる場面ですね。

また、ラリアットで一回転する場面などがありますが、あれはあえて一回転する事で衝撃を逃がしているそうです。

2.投げ技

投げ技は自分から飛ぶ事で受け身を取りやすくすることができます。

練習で行う受け身の形に近づける作業ですね。

ボディスラムなどの基本的な技は練習時に何度も食らうことで受け身を覚えることもあるようです。

また、前田日明がデビュー前の選手に頭から落とすような投げ技を繰り返し、頭から落ちても首で衝撃を逃す、ということを体に叩き込んでいたという話もあります。

素人ならボディスラムだけでも背中を打ちつけて呼吸困難になりますw

3.関節技・絞め技

我慢ですw

折りにいくということはまずないのですが、痛いものは痛い。

技をかけている選手がフォール勝ちにこだわる場合、技を解いてフォールに行く場合や、必殺技の布石として用いる場合(鈴木みのるのゴッチ式パイルドライバーや柴田勝頼のPK等)以外は技から抜けるにはロープエスケープの場合がほとんどで、序盤はロープを掴んでも拍手が起こる程度ですが、終盤にじわりじわりとロープに近づくシーンはとても盛り上がります。

また、強引に持ち上げる、投げる、叩きつける等、パワー型の選手ならではの抜け方もあります。

ミルマスカラスは相手の肘などを指の関節でグリグリして抜けてましたw

これは余談ですが、関節技に限らず、試合中はアドレナリンが出て痛くなくなるという話をよく聞きますが、リングから離れた時期が長くなると試合中でもメッチャ痛くなるらしいですw

4.フォール技

通常時はレフェリーのカウント中に足の反動をつけて首より下を浮かせます。

ダメージが深くなると片腕を反対の腕側に伸ばして上げた方の肩を浮かせます。

この動きの違いによって選手の疲労具合がわかる場合や、逆にボロボロの選手がカウント1で飛び上がるように返して盛り上げるなど、フォールを返すという一見単純な行動でも見えてくるものがあります。

また女子プロレスでしか見たことが無いのですが、フォールをのしかかった相手ごとブリッジして返すということもあります。

4.むしろ受けない

あえて受けない。ということで試合を表現する選手もいます。

プロレス復帰後の鈴木みのるなどですね。鈴木みのる対小橋建太なんかは良い例だと思います。

避けに避けてそういう相手にどう当てるのか?というのがテーマとなり、とても面白い試合でした。

まあ終盤は受けまくるんですけどねw

また、投げ技等は回避する事で地力や身軽さを見せつける効果もあります。

パワーボム等で胴体をクラッチされている時にそのまま相手を背中に乗せて後ろに反り投げたり(リバースするといいます)、ジャーマンスープレックスを自らバク宙する事で足から着地したりですね。

ウィル・オスプレイが飯伏幸太の雪崩式フランケンシュタイナーを着地したシーンはgifになるほどの伝説のシーンとなりましたw

まとめ

繰り返しになりますがプロレスラーは相手の技を受けることを前提にしています。

受けっぷりの良さや、どんな技を食らっても立ち上がる姿など、受けることで会場を盛り上げることもできる等、他の格闘技では見られない非常に奥の深い技術です。

コミックレスラー等と呼ばれる、お笑いに近い試合を主に行う選手は受け身が上手くないと成立しません。

ハッスル時代のレイザーラモンRGはあくまで芸人でしたし、散々なキャラクターでしたが、背中の筋肉は非常に発達していました。

わざわざ攻撃を受けることに否定的な意見もありますが、プロレスのひとつの魅力です。

あえてレスラーの受け身に絞って、試合を見てみると面白いものが見えてくるかもしれません。

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